簡裁の金銭支払い請求訴訟では,期日に被告側が事実を争わず,分割払いや後払いを内容とする和解を希望し,原告としても,取立の負担を考えてこのような和解の希望に応じることが少なくありません。
」と規定されています(法270条)。
貸金請求事件などで被告が一括で払えず分割払いを希望するときなどに使われそうな規定です。
簡易裁判所の場合、先に説明したように、第2回以降も片方の当事者(実質的には被告側)が欠席しても準備書面等が提出されている限り擬制陳述で進めることになり、第1回と第2回以降で行うことはあまり変わりません。
これに対して、和解したくない事案では、簡易裁判所は弁護士にとっては苦痛です。
5 原告及び被告は、原被告間には、本件に関し、本和解条項に定めるほかは、何らの債権債務がないことを相互に確認する。
ネットで調べましたところ、下記のような説明を見つけました。
・手続としては,この決定にあたり,原告の意見を聴かなければなりません(同条第1項)。
予め話し合いがなされていなかったり、話し合いはしたが合意できていなかった場合でも、簡易裁判所では、先に説明したように原告側も被告側も出席していれば、裁判官は多くの場合、司法委員による和解の調整を指示します。
・決定の内容としては,異議申立期間経過時から5年以内で,支払時期について,後払いの定め又は分割払の定めができます(同上)。
これを読むと、「和解に代わる決定」というのは、当事者に争いのない金銭請求事件において、支払の方法について当事者の意見を聴いたうえで、裁判所が決める決定で、いわば民事調停法17条決定の簡裁訴訟バージョンというイメージです。
***銀行 ***支店 普通05**82** 口座名義 ***** 3 被告が、前項の金員の支払を怠ったときは、被告は、原告に対し、第1項の残金及びこれに対する平成22年12月31日から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金を直ちに支払う。
この「和解代わる決定」は、比較的新しい仕組みのようで、裁判の迅速化、効率化を図る仕組みようです。
他方、当事者、特に被告側が、言い分がないということで答弁書も出さずに欠席するとほぼ確実に欠席判決になり、訴状で請求されているとおりの判決(金銭の支払を求める裁判なら全額の即時一括払い)が出ることになります。
簡易裁判所が訴状を被告に送るときに同封される答弁書のひな形に分割払いの希望等を書くように指示されていますが、これを書いた場合でも、被告側が欠席していると、ほとんどの場合、裁判所は原告側に、被告から分割払いの希望があるがどうするかと聞いて、原告側がそれでいいといったらその内容で和解に代わる決定を出してくれますが、原告側が飲めないといえばそのまま欠席判決に進むことになります。
期間内に異議の申立てがないときは,この決定は,裁判上の和解と同一の効力を有することになります(同条第5項)。